おすすめ商品のご紹介 ORGLORY【Corduroy Jacket 編】
大変お待たせしました。
ORGLORY今季のイチ押し素材『Corduroy』を使用したセットアップシリーズより、
ジャケットが入荷しました。
使用している生地や裏地、パーツについては先日のブログに書かせていただいたので割愛させていただきます。
こちらをご覧ください。→『Corduroy Vest編』
コーデュロイの上着というとフレンチワークを筆頭にビンテージワークアイテムによく見られます。
今回のような硬くて厚い生地の場合、通常であれば普段からデニムや帆布などの厚地に慣れている工場に依頼しますが、経験上、肩入れや襟のかえりが平面的になってしまいます。
これは増し芯、裄綿といった表面上見えない材料の使い方や、縫製やプレスの際の職人さんのテクニックによるものなんですが、
簡単に言うと、畳むと平面になりタンスにしまえるものと、立体的で畳めないものは根本的に型紙から、作る工程、材料、扱える職人が変わるということです。
そんなこんなでこのジャケットは立体的な構造のスーツやテーラードジャケットを縫う工場さんに依頼しています。
ただここで問題が1点。
普段スーツ地を中心に厚手といっても所謂ツイード等のウール織物を扱うくらい。
最初に絵型と生地を見ていただいた際の第一声は、「固い。厳しい。」でした。
(実際はもう少し表現やんわりとしていましたがw)
そもそもウールと綿の織物では原料の糸の段階で太さが違う上に、生地の密度が全く違います。
縫製の縫い込みの際に生地が集まるところは生地の4枚分、5枚分の厚みになるため、針が折れてしまったり糸が擦り切れてしまったり、無理やり縫うと生地に傷がついてしまったりと、生産に際してのデメリットが多いので生産効率も落ちることになります。
正直、工場さんとしてはあまりやりたくない仕事だったと思います。
まあここまでは想定内でしたので、ここからは出来るだけ希望通りに仕上げるために工場さんと落としどころを探っていきました。
①パッチポケット
ポケットは本来中縫いで表にステッチが出ない仕様にするつもりでした。
この中縫いは特殊な縫い方でポケットの中にミシンを入れ込みながら縫わなくてはいけないため、きれいに縫い上げるには熟練の職人さんの技術が必要です。
つまりは唯でさえ難しい仕様。
その上でこの生地の固さ。。
試作の際、1つのポケットを縫い上げるのに針が3本折れたとの報告。。これは生産効率が悪くなるだけでなく、折れた針先が混入してしまう危険もあるため改良することにしました。
工場から提案されたのはステッチで押さえる方法。
生地厚を考えると5~7mm位が妥当なのですが、それだとステッチが目立ちカジュアルな印象になってしまいます。
逆に生地際を縫うコバミシンにすると小綺麗に仕上がる反面、ステッチ外れや強度に支障が出る恐れがありました。
よくよく考えぬき相談を踏まえ、コーデュロイの畝巾に合わせた3mmのステッチにしています。
狙い通りです。ステッチが畝と同化してくれました。
(横に走るステッチはばっちり見えてしまいますが健闘の証ということで許容ください!)
もう少し寄ってみます。
ポケット口にはかんぬきで補強し耐久面もクリアできたかと思います。
②裾始末
こちらも本来であれば表にひびかないように、奥まつり縫いのミシンで処理するつもりでしたが、やはり針が折れました。
地縫いと違い本来目立たないように縫い上げるミシンなので、生地に合わせて微妙に調子を合わせるのが非常に難しいミシンですが、そこに針の問題が出てしまった為、こちらもステッチ押さえに変更。
ステッチは出来るだけ目立たないように、地縫いと一緒の#50の糸で縫いました。
(#50は糸の番手(太さ)を表す数字で、数字が小さくなるにつれて太い糸、数字が大きくなると細い糸になります。一般的にワークアイテム等では#20や#30を使うことが多いですが丈夫になる反面、縫った糸が目立ちます。)
その他は工場さんに頑張ってもらい当初のこちらの希望通り仕上げていただきました。
もう2度と同じ生地ではやりたくないとのお墨付きです!w
今回のジャケットはORGLORYではお馴染みのスクールジャケットをベースに、3ピースで着た時も単体で着た時もバランスがとれるようにアップデートしています。
ジャケットはベストとは違い肩回りや袖の作りこみがされているので、より生地を纏う感覚を感じていただけると思います。
袖を通した感覚はしっかり鞣された肉厚のレザーのよう。
着始めは少し硬いイメージですが、樹脂コーティングが生地に馴染み角が取れてきたら本番です。
着れば着るほど体に馴染み、レザージャケットやメルトンコートのように永い相棒となってくれることでしょう。
※永く着るためにも体型維持は忘れずに!
atelier佐藤
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